2012年3月1日木曜日

500年残る技術

ハリウッドの役割は2つ。世界に流通
する良質なコンテンツ生産。そして著
作権を行使して長年2次使用以降の
恩恵を守ること。

スポーツのオフェンスとディフェンス
同様に一対で成り立つもの。
アカデミー科学技術賞のFUJIFILMの
技術は守備の主将として開発された。

デジタル時代にアナログのフィルムが
何故アカデミー賞なのか。
実はデジタルは複製可能な最高の手
段で送受信も含めコストを抑える技術
革新と思われているがそうではない。


残念ながらデジタルは進化とともに記
録情報の書き方や保存形式が一気に
変わる。その度に書き換えが生まれる。

100が100のまま完全に移行されたかの
チェックも必要。99であってはならな
い。メジャースタジオが高額な費用で
砂漠の地下に建設したサーバーセン
ターもシステムが変わるたびにデータ
を移し替えねばならず、長期間1スタ
イルの保存方法は存在しなかった。

RGBの3つの色の分割をモノクロフィ
ルム焼きつけする技術は500年耐久
する待望の技術。

イーストマンコダックがハリウッドの
フィルムを守り続けたこの100年。
チャプター11申請しその長い歴史に
幕を下ろした今年、ハリウッドのコダ
ックセンターで科学技術賞を受賞した
のがFUJIになったのは皮肉な結果と
なった。

EKで生まれた映画はFUJIに引き継が
れ、今後500年はファーストプリント
が再生できる。
26世紀までFUJIが残ることを意味し、
メジャーのプリントはFUJI製にすべて
置き換わる。

こんな凄いことを喜ばずして日本映画
界は何を喜ぶのか。技術大国ニッポン
をあのウルさいアカデミー審査員がや
られたって言ったのだ。

ファーストプリントは関係者試写会で
しかお目にかかれないものだが、驚
くほど発色が良く、これを見たら普通
の映画館プリントは玄孫(やしゃご)未満。

それほどキレイなのが1ST PRINT.

審査委員長はかつてSTARWARSの
特撮監督だったリチャード・エドランド。
リチャードは海軍横須賀基地勤務時
に<KUROSAWA>を見て映画の道
に進んだ。

歴史は繋がっている。突然変異では
なく、地球を1周して戻ってくる。
数年前リチャードに聞かれたのは、
日本で誇れるものは何だね?

答えに詰まった、しかし今はあなたが
決めたFUJIですよと堂々と言える日
がきた事に感謝したい。