2011年8月24日水曜日

感動を紡ぎだすプロデュース ①

上野動物園の隣、日本芸術の最高学府のプ
ロモーションを請け負った時の事である。

学長は言った。
たとえ日本のTOPであろうと、世界に通じなけ
れば意味がない。日本芸術を高めるためには
留学生を受け入れて自国で日本芸術を開花さ
せてもらう必要がある。そのためにも世界で通
用するプロモーションを作って欲しい。

さすが最高学府の学長、要求はマキシマムだ
った。しかし予算はミニマム。最高のコストパ
フォーマンス案件だった。

オリエン替わりに学内を案内してもらうと、人
間国宝の方が三味線をひいていたり、地下の
保管庫では国宝の絵画が眠っていたり、最高
峰パイプオルガンのホールがあったり。普段
目にしない珍しいもの(超高品位)を間近に、
電気ショック状態だった。

2週間後の学園祭を撮影日に企画したのは、
<Hand To Hand>芸術はすべて手から始ま
る。MUSICとFINE ARTの二部構成で岡倉天
心から始まる120年以上の<芸大Hand>を
助教授のサウンドデザインでリードしたマッシ
ュアッププロモーションとなった。

なんの変哲もない学生のひとりひとりの手が、
コラージュで繋がることでMOVING_DESIGN
に変貌した。

意外だったのは音楽系が女性的、美術系は
男性的と想定していたが編集してみると逆だ
った。師範のタマゴたちの手は画面で踊った。

商業音楽の<戦場のメリークリスマス>とか
助教授先生は全く知らない。だからCDをたく
さん貸して指導した。
サウンドデザインを理解すると速かった。
もちろんフレーミング(画角)も勝算した。

学生自らが自分の手を使ったセリフもナレー
ションもない(英語字幕のみ)プロモーションは
<芸大らしさ>を表現するには最適だった。

怖い教授会試写会は握手責めだった。
早速ロンドン公演に持って行くとのことだった。

120年の重さとノンフィクションの力強さをも
映しこんだエモーショナルでポップなGEIDAI
になった。

上野の森にさわやかな風が吹いていた。