カンヌ広告祭2004年審査員のタツロー(佐藤達郎氏)
さんのガイドブックを読んだ。
さらっと1時間で、ぎっしりその思いを噛み締めるこ
とが出来るクリエーターズガイド。そうそうその通り
と共感が並ぶ。審査員は過去毎年出ているが何故
いままで出版がなかったのか。
商業的にはなかった。でもカンヌレポートは毎年出
ていた。審査員のみならず、参加者たちが会社への
報告書・関係者へのレポートとしてA4ホチキス留め
の熱い思いを描いた歴代のカンヌレポート。
広告会社上位2社は交代で毎年審査員を送り込ん
でいた。だから審査員の先輩が後輩に、後輩の後
輩にと受け継がれてきたので出版になる必要がな
かった。3位目以降の会社が参加して初めてタツロ
ーさんのカンヌの見える化になる。
それだけ2社が独占していた業界(実力差がある)
であると同時にカンヌと普段の仕事は離れていた。
カンヌの凄いところは、審査員のみならず入場する
人たちみんなが興奮する。世界中のクリエーターが
目指すこのイベント入場料は円高でも26万(€2600)。
以前は30万だった。30歳未満のヤングで10万程度。
もちろん渡航費滞在費別途。
世界一の権威を保つこのカンヌは、審査するCMも
エントリー350ドル程度取る。入賞作品DVDを11万円
で売る。以前はこの視察だけ(エコノミーでツイン部屋60万強)
で成り立つ旅行会社もあったほどだ。
アメリカの賞と違うのは、アメリカが主流ではなく、世界
中が標準化されているところ。アジア勢(タイ・シンガポ
ールら)も相当強い。SONY,TOYOTA,NISSANであって
もまず日本の広告ではない。
大げさに言えば草食系が肉食系に変わって帰ってくる。
そしてまた来年行きたくなる。誰もがエントリーでき、誰
にもチャンスがあるカンヌライオン。大人たちの甲子園。
興奮はタツローさんの本を読んでいただけるとわかる。
過去このグランプリを手にした人たちと仕事をして、ああ
全然違うと感じた。普段は普通なのに、仕事になると羊
の皮を脱ぎ狼に変身する。狼は高校野球の中でメジャー
のプレイを要求する。当たり前のように。
当然、ほぼ毎日が苦痛の日々でした。全力の2倍でも無
理。言われたのが、2倍やって当たり前、3倍でちょうどい
い位だよお前レベルは。(寝る時間はないと言うこと)
自分の壁を超えた向こう側にしか答えはない。3倍の高さ
から見下ろされていたのです。
お金では買えない価値を授けてくれるのがこのカンヌ。
機会あったら絶対に無理して行って下さい。
きっとその価値に気付くことができます。